温泉の principle を追求する純民間の調査研究・コンサルティング会社です

 

 
おもな認定基準
トップページ 「還元系温泉」とは モデル認定施設
 
  認定の背景      
「還元系温泉」の認定試験は、温泉が持つ還元性に着目したものであるため、「酸化還元電位」の測定が基軸と見られがちですが、単にそれだけの観点で判定が行われているわけではありません。

還元性は各温泉の特性や成分と密接な関連があるので、その意味については、必要に応じて特定の成分の分析や温泉の設備・運用状況の調査などを交え、慎重な検証を行っています。また、浴槽において優れた還元性が発揮されていたとしても、浴槽水の衛生状態が悪ければ浴用に適しているとは言えません。
 
よって、おもに以下の調査・分析により、これらの結果が総合的な観点から「合理的」であると判断された場合、そのことを証する「還元系温泉」の認定が行われます。

 
おもな試験・調査項目と基準の考え方
1. 温泉調査
源泉と湯口および浴槽の間で、人工的な要因による著しい成分変化、泉質変化が見られず、還元性が良好に保たれていること。ただし、泉質の特性に由来する現象は除きます。
【おもな調査試験項目】
酸化還元電位、pH、温度、電気伝導率ほか。必要に応じて特定の成分の分析等

2. 湯量調査
浴槽容積と湯量の関係に著しい無理が見られないこと。
【おもな調査項目】
平均的な入浴者数と湯量・浴槽容積等との関係の把握。泉質や温度、利用状況などから一律の基準の適用は妥当ではないため、3の衛生調査の結果を参照し個別判断

3. 衛生調査
浴槽水は厚生労働省(平成15年2月14日/健発第0214004号)が示す水質基準を満たしていること。
【おもな調査試験項目】
レジオネラ属菌、大腸菌群、一般細菌。泉質・成分・状況により濁度、過マンガン酸カリ消費量も実施

4. 運用調査
温泉設備・配置等が適切であり、 浴槽の換水、清掃、管理が適切に行われていること
【おもな確認項目】
泉源・設備・浴槽の管理状況、換水頻度、清掃状況の聞き取り確認および目撃確認など

 
その他
・還元系温泉の認定有効期間は、認定日より5年間となります。
・5年以内であっても、以下の場合は認定無効となります。
→認定以降に浴室・浴槽の改築や全面改装、設備の大幅変更が行われた場合
→泉源や分湯権の売却・譲渡等により湯量に変更 (減少) があった場合
→施設の倒産や事業譲渡にともない経営者・温泉管理者が変更になった場合
→社会常識・信用に反する行為が認められた場合
なお、当所では認定期間中であっても公式・非公式を問わず可能な限り巡視を行っており、認定内容の維持・保証に努めています。

【その他補足】
酸化還元電位を語るとき、測定電位の高低による数値論が走りがちです。とくにインターネット上には認識不足にともなう誤解や独りよがりな解釈が多く見受けられます。
温泉の酸化還元電位は成分と密接な関連があり、その関係を勘案することなく数値だけで判断することは誤りです。 重要なのは数値上の違いなのではなく、その数値が成分との関係からどんな意味を持っているのかということを正確に把握することです。
よって、数値の高低だけで温泉の良し悪しは判断できませんし、電位が低ければアンチエイジングに良いというわけではありません。電位と成分の関係、対象となる温泉水が持つ科学的特性、運用状況などを踏まえ、その意味を適切に判断することが重要です。
 
 

日本温泉総合研究所